日本東洋医学雑誌
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原著
漢薬「釣藤鉤」の薬用部位に関する史的考察
御影 雅幸遠藤 寛子
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2008 年 59 巻 1 号 p. 25-34

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抄録

日本薬局方では釣藤鉤としてUncaria rhynchophylla (Miq.) Miq., U. sinensis (Oliv.) Havil., U. macrophylla Wall.のとげが規定されているが,中国の局方ではこれら3種以外にU. hirsuta Havil.とU. sessilifructus Roxb.を加えた5種の鉤をつけた茎枝が規定されている。本草考証の結果,当初の原植物はUncaria rhynchophyllaであり,薬用部位は明代前半までは藤皮で,その後現在のような鉤つきの茎枝に変化したことを明らかにした。一方,日本では暖地に自生しているカギカズラの主として鉤が薬用に採集されてきた。このことは明代に李時珍が「鉤の薬効が鋭い」と記したことに影響を受けたものと考察した。釣藤散など明代前半以前に考案された処方には藤皮由来の釣藤鉤を使用するのが望ましい。

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© 2008 一般社団法人 日本東洋医学会
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