日本臨床外科学会雑誌
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症例
胆道癌と鑑別困難であった肝外胆管原発び漫性大細胞型B細胞リンパ腫の1例
澤木 康一大河内 治大西 英二林 直美松下 英信川瀬 義久
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キーワード: DLBCL, 肝外胆管, 閉塞性黄疸
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2017 年 78 巻 4 号 p. 825-829

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抄録

肝外胆管原発DLBCLの1例を経験したので報告する.症例は72歳,男性.腹痛で近医を受診し黄疸を指摘され当院紹介になった.腹部CTにて胆嚢管から肝外胆管にかけて著明な壁肥厚を認め,ERCPにて肝外胆管に閉塞を認めた.胆管癌と診断し肝外胆管切除術,領域リンパ節郭清を施行した.病理検査にてDLBCLと診断された.退院後に撮影したPET-CTで骨浸潤を認め,R-CHOP療法を施行した.術後9カ月現在CRで生存している.肝外胆管原発悪性リンパ腫は極めてまれで,画像検査では胆管癌との鑑別は困難とされる.黄疸の原因が悪性リンパ腫の場合とその他の疾患の場合において,治療方針や予後が大きく異なってくるため,可能であれば術前に細胞組織学的検索を行うことが望ましく,積極的な生検診断を試みるべきである.しかし,実際には術前診断が困難な場合が多く,手術は正確な診断,治療のための有効な手段と考えられる.

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