日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術および腹直筋皮弁再建術を行った肛門管癌の1例
川口 直山本 誠士田中 慶太朗鱒渕 真介奥田 準二内山 和久
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2017 年 78 巻 12 号 p. 2717-2722

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抄録

広範囲の会陰部合併切除が必要な肛門周囲への浸潤を伴う肛門管癌や下部進行直腸癌術後の吻合部局所再発,複雑性痔瘻を伴う下部進行直腸癌の3症例に対して,腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術および腹直筋皮弁を用いた再建術を施行した.3症例中1例に骨盤死腔の残存を認めたために,大腿筋皮弁での充填術を追加したが,骨盤死腔炎や腸管の骨盤死腔への落ち込みによる腸閉塞は予防された.腹直筋皮弁による骨盤底の再建は骨盤死腔を減少させ,同時に皮膚欠損の補填も行える有用な術式と考えられた.さらに,腹腔鏡下での手術は骨盤内における皮弁の状態を観察することが可能であり,かつ腹壁破壊などの侵襲も少なく,腹直筋皮弁を用いる際には有用であると考えられた.

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© 2017 日本臨床外科学会
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