2013 年 74 巻 5 号 p. 1290-1294
腸重積による閉塞症状で発症した小児小腸血管腫の症例を経験したので報告する.症例は9歳の女児.前医よりイレウスの診断で当院へ紹介となった.腹部CTにて小腸にtarget sign様の像を認め,小腸腸重積によるイレウスと診断し緊急手術を施行した.開腹所見にて小腸に血管腫と思われる腫瘤を認め,同部位が先進部と判断し小腸部分切除を施行した.術後経過は良好で,第9病日で退院となった.
小腸血管腫は小腸腫瘍の中でもまれであり,その多くが消化管出血で発症し,腸重積による閉塞症状で発症することは極めてまれである.小腸腫瘍の確定診断には小腸内視鏡が有用であるが,特に小児に対して緊急で施行できる施設は限られている.
腸重積症として発症した小児小腸血管腫としての報告例はなく,本症例は本邦初の報告と思われる.