2008 年 69 巻 9 号 p. 2219-2223
食道表在癌の胃転移の1症例を経験した.症例は79歳,男性.主訴は突然の上腹部痛であった.来院時,心窩部に圧痛と筋性防御を認め,左上腹部に腫瘤を触れた.CTで胃小彎側に巨大な腫瘤を認め,胃腫瘍の穿孔による腹膜炎と診断されたが,心肺機能不良のため保存的に加療した.上部消化管内視鏡検査で胃上部に潰瘍を伴う粘膜下腫瘍様の出血性病変を認め,生検で扁平上皮癌と診断された.第50病日に癌死,剖検にて腹部食道に表在癌を指摘され,胃の病変はその転移と診断された.