日本臨床外科学会雑誌
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症例
胸膜孤立性線維性腫瘍の1例
土井口 幸谷川 富夫土井 康郎千代永 卓
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2007 年 68 巻 10 号 p. 2482-2485

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抄録

症例は, 61歳, 女性. 喉のつかえ感があり, 本院を受診し胸部X線で左下肺野の異常陰影を指摘された. CT, MRIでは左横隔膜背側に接して境界明瞭な14cm大の腫瘍を認めた. 以上より胸膜腫瘍や横隔膜腫瘍が考えられたが確定診断がつかないので手術を行った. 胸腔鏡を挿入し, 胸腔内を観察すると, 腫瘍は横隔膜や胸壁との癒着はなく, 左肺下葉の臓側胸膜から有茎性に発生した14×9.5×4cm大の腫瘍であった. 腫瘍が大きいので開胸術に変更して, 茎を含め腫瘍から十分に距離をとって自動縫合器を用いて肺部分切除を行い摘出した. 病理所見では, 紡錘形細胞の増殖と介在する膠原線維間質を認めた. 免疫染色で, CD34とvimentin陽性, keratin陰性であり, 胸膜孤立性線維性腫瘍と診断した. 本症は術後の再発例や悪性化の報告もあり術後長期にわたる観察が必要である.

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© 2007 日本臨床外科学会
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