2001 年 62 巻 2 号 p. 358-362
症例は57歳,女性.低血糖発作の精査治療目的にて入院.12年前に後頭葉の腫瘍にて摘出術を施行され,病理組織学的にangioblastic meningiomaと診断された.空腹時血糖値は30mg/dlで,血中インスリン値,Cペプチド値も低値であった.腹部超音波,CT,MRI,血管造影検査にて腹腔内および腰部に多数の限局性腫瘤を認めた.腰部の腫瘍摘出生検所見がhermangiopericytomaで,12年前の脳腫瘍摘出標本と病理組織学的に一致し,meningeal hemangiopericytomaの腹腔内および腰部転移と診断した.手術にて根治性が得られないと判断し,低血糖症改善の目的で,腹腔内の大きな2つの腫瘍に対して動脈塞栓術を施行したところ,効果がみられた.