日本大腸肛門病学会雑誌
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進行結腸癌と盲腸GIST (Cajal cell type)が衝突していた1手術例
黒阪 慶幸桐山 正人西島 弘二伊藤 博伊井 徹竹川 茂小島 靖彦渡辺 騏七郎
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2004 年 57 巻 2 号 p. 61-65

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抄録

症例は67歳女性で,下腹部痛を訴え来院した.右下腹部に鶏卵大の腫瘤を触知し,注腸と大腸内視鏡検査で,2型の盲腸進行癌と診断した.腹部CTでは右骨盤腔上部に径4cm大の充実性腫瘤を認め,D3郭清をともなう結腸右半切除術を施行した.摘出標本では2型の進行癌と癌に衝突する径2cm大の滑らかな球形腫瘤を認めた.病理組織学的に盲腸癌は中分化腺癌でH0P0ss n0 stageIIであった.また衝突腫瘤は束状に配列し錯走した密に増殖する紡錘形細胞より構成され,免疫組織学的にsm-actinとS-100蛋白には陰性,c-kitとCD34には陽性を示しbenign GIST(Cajal cell type)と診断された.自験例は,盲腸癌によると考えられる多発肝転移再発を来たし術後13カ月目に癌死した.
自験例は消化管粘膜細胞由来の大腸腺癌と間葉系のCajal cell由来とされるGISTが衝突した稀な症例と考えられ,若干の文献的考察を加え報告した.

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