2009 年 26 巻 3 号 p. 403-410
目的: てんかん患者の利き手と精神病症状との関係は永年論じられてきたが、未だ不明のことが多いため、この問題について多施設共同研究を行った。
方法: 対象に、精神病症状のない部分てんかん32例、精神病症状を持つ部分てんかん32例、および統合失調症25例の3群を設定した。一般的特性、てんかん関連要因、精神病関連要因を評価した。さらにAnnette Hand Preference Questionnaireを用いた利き手判定と改訂版ウェクスラー成人知能検査を行い、各群での結果を比較した。
結果: 利き手の分布は各群でほぼ同等であった。脳波異常側性と利き手に有意な連関はなく、MRIの左または両側異常例に左利き、両利きが多く認められた。てんかん精神病で有意に知能が低かったが、利き手への影響はなかった。
結論: 部分てんかん患者において利き手と精神病の関連は低いものと考えられる。