RADIOISOTOPES
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原著
T-for-H交換反応における芳香族アミノ酸の速度論的反応解析
吉田 陽今泉 洋佐藤 貴之狩野 直樹
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2009 年 58 巻 4 号 p. 121-128

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抄録

トリチウム(3H又はT)が生態系に及ぼす影響を定量評価するために,三つのアミノ酸(L-チロシン,L-フェニルアラニン,L-2-フェニルグリシン)とHTO蒸気との間の水素同位体交換反応(T-for-H交換反応)を,50~70℃の温度範囲で固-気反応の形で観測した。得られたデータにA"-McKayプロット法を適用することで,この反応における各官能基の速度定数(k)を求め,相互比較した結果,以下のことが明らかになった。(1)各アミノ酸の官能基の反応性は温度の上昇と共に増加する。(2)T-for-H交換反応において,本研究で用いたアミノ酸の官能基の反応性は,L-チロシン<L-フェニルアラニン<L-2-フェニルグリシンの順であることがわかった。(3)L-チロシンにおける各官能基の温度依存性はCOOH基<OH基<NH2基であり,OH基の反応性はNH2の反応性の約3.8倍であり,更にCOOH基の反応性はNH2基のそれの約2.0倍である。(4)NH2基の反応性に及ぼす置換基の影響はCOOH基の反応性に及ぼすものに比べ大きい。(5)A"-McKayプロット法を使うことで,マスク剤等を使わないで,Tが物質に取り込まれる挙動を非破壊的,実態的,定量的に解析することが可能である。(6)本研究で得られた結果は,T汚染の防止やTの挙動を明らかにする上で利用できると思われる。

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