「傾向面分析」という統計的地質解折の新しい手法は, 10年余り前から,おもに米国の地質家によって利用されている。この種の分析技法は,とかく地質家には馴みの薄いものであったが,探鉱開発の実務に有効な役割を果してきた。最近,計算機応用の技術向上と相俟って,一段と数理的なものにする努力が払われている。本論文の目的は,この「傾向面分析」という新しい解析手法の「概念」と「方法論」と「応用法の実際」を,日本の石油地質データを使って紹介することである。データとして,山形県庄内平野の坑井のIsocoreデータを使用した。計算機が描いた図の解釈については,それが何を意味するかについてなお研究の必要があるが,地層の発達状況との相関はきわめて合理的に表現されている。これら数理的な解析の効用を理解し,探鉱開発技術の一助とする必要がある。