2019 年 88 巻 12 号 p. 3-9
横浜市水道局では、アナベナが産生するかび臭対策で、活性炭の注入等の対応を行っている。平成25年は、形態学的に同一のアナベナの増殖ピークが2回あり、アナベナ1細胞あたりのジェオスミン濃度は、2回目のピークで相対的に低く、1回目の4%程度であった。この現象は、アナベナのかび臭産生関連遺伝子の有無や発現制御に起因する可能性が推測された。本研究では浄水処理に有用な情報を得るため、浄水場原水のDNA サンプルからジェオスミン産生関連遺伝子を検出する方法を検討した。また、浄水工程での従来の監視方法であるジェオスミン濃度の測定と、顕微鏡での形態観察及び細胞数の計数結果との比較により、その有効性が確認できた。