日本助産学会誌
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出産体験の自己評価と産褥早期の産後うつ傾向の関連
常盤 洋子
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2003 年 17 巻 2 号 p. 27-38

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抄録

目的
産後うつ傾向は産褥早期に対処されることが期待される. そこで, 出産体験の自己評価と産褥早期における産後うつ傾向の関連を明らかにし, 出産後の心理的援助のあり方を検討する資料を得ることを目的とする。
対象および方法
研究期間は平成12年4~9月。産後1~7日目の褥婦1,500名を対象に無記名自記式質問紙調査を実施した (有効回答数932票, 回答率62.1%)。調査内容は, 出産体験の自己評価, 産後うつ傾向, 出産体験の自己評価に影響を及ぼす産科的要因, 心理・社会的要因であった。
結果
出産体験の自己評価が低い場合, 産後うつ傾向をもたらす可能性が高いことが明らかになった。また, 初産婦, 経産婦ともに「信頼できる医療スタッフへの不満」,「出産年齢が若年」,「出産時の不安が強い」が産後うつ傾向を規定する要因として抽出された。
結論
出産体験の自己評価に満足が得られない場合には, 初産婦, 経産婦ともに産後うつ傾向が高くなることが示唆された。また, 分娩期における信頼できる医療スタッフの存在, 出産時の不安への対処は, 出産体験の満足度を高め, ひいては, 産後うつ傾向の予防に貢献すると考えられる。

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