日本細菌学雑誌
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総説
微生物のタンパク質分解:ClpPの機能を中心に
石川 文洋本間 道夫田邉 元三内橋 貴之
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2024 年 79 巻 1 号 p. 1-13

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抄録

細胞内のタンパク質は生まれ(合成され),働いて,死んで(分解されて)いく。タンパク質の一生の中で,生まれることも重要であるが,どのように死んでいくかもまた等しく重要な生物の営みである。細胞外に分泌されるプロテアーゼは,外のタンパク質を分解することによって栄養物として取り込むために利用される。細胞内の不要になった,あるいは害になるようなタンパク質を分解するプロテアーゼも存在する。真核生物では,プロテアソームと呼ばれる巨大酵素複合体がそのタンパク質の分解を主に行う。原核生物である細菌も類似のシステムをもつ。細菌の細胞の中で,そのタンパク質の死に関与するATP依存的なプロテアーゼClpの複雑な分解系の制御と作動機構について,特に,ClpXPを中心に,また,細菌に対する抗生物質のターゲットとしての側面について解説したい。

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