1985 年 40 巻 3 号 p. 589-598
p-Chloromercuribenzoate (PCMB)処理Bacillus megaterium ATCC 19213芽胞から,8M尿素処理で流出するPCMB結合低分子物質を,ゲルろ過,イオン交換クロマトグラフィー,薄層クロマトグラフィーにより精製し,その化学構造を検討した。その結果,この物質は,Ser, Gly, Asp, Glu, Ala, Thr, 6種のアミノ酸計16残基から成るペプチドであり,その一次構造は,Gly-Asp-Ser-Ala-Asp-Ser-Gly-Glu-Gly-Asp-Ser-Ala-Thr-Ser-Gly-Gluと決定された。また,ペプチド中のPCMB結合アミノ酸はSerと推定された。このペプチドは,D-グルコースやリン酸緩衝液による発芽能の出現と消失に関係していることから,芽胞と発芽剤の反応に影響を与えるものと考えられる。