2010 年 24 巻 5 号 p. 753-762
吸入ステロイド薬およびクロモグリク酸ナトリウム吸入液(DSCG)以外の間欠型または軽症持続型相当の治療を受けているにもかかわらず,夜間に喘息症状が認められる6ヵ月から5歳未満の気管支喘息患児に対し,ブデソニド吸入用懸濁液(BIS)もしくはDSCGによる治療を行い,夜間睡眠障害と保護者のQOLに対する影響を多施設共同オープン無作為化並行群間比較試験により検討した.34名が登録され,観察期間の最後の1週間に夜間睡眠障害が認められないなどの理由による7名を除いた27名を無作為割付し,26名のデータを解析した.主要評価項目である4週間の治療による夜間睡眠障害点数の変化は,BIS群がDSCG群に対し有意な改善を示した.症状点数についても,BIS群がDSCG群に対して有意に改善し,また保護者のQOLはBIS群で顕著な改善が認められた.さらに,夜間睡眠障害点数と保護者のQOLの間に良い相関が認められた.以上より,BISは,患児の夜間睡眠障害を改善することにより,保護者のQOLも改善することが示唆された.