日本小児アレルギー学会誌
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学校給食における食物アレルギーの現状と対策
今井 孝成小田島 安平
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2004 年 18 巻 3 号 p. 251-255

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抄録

背景: 食物アレルギーは除去食療法がいまだ治療の主体であり, 食物アレルギーが耐性化しない学童は, 学校給食においても同治療が必要となる.
目的: 我が国の学校給食における食物アレルギー対策の現状と問題点を把握し, 今後の指針とする.
方法: (社) 全国学校栄養士協議会の研修会に2003年1~3月に参加した学校栄養士555名を対象にアンケートを配布回収した.
結果: 食物アレルギー児を抱えている栄養士は76.0% (422/555) であり, このうち食物アレルギー食の提供を行っている施設は68.7% (290/422) に過ぎなかった. 除去が必要な抗原は乳製品, 鶏卵, 甲殻・貝類, 魚類, ピーナツの順で多かった. 学校給食で食物アレルギー症状を経験したものは27.2% (151/555) であり, このうち医療機関の受診を要したものは46.4% (70/151) であった.
結論: 学校給食における食物アレルギー児への対策は現状で満足できるものではない. 全ての食物アレルギー児に対して個別に対応し, 食物アレルギー食を提供できる理想的な環境を整える努力を始める必要がある.

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