食品衛生学雑誌
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調査・資料
ポリ塩化ビニル製品中の6種のフタル酸エステル試験法
阿部 裕六鹿 元雄平原 嘉親河村 葉子
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2011 年 52 巻 5 号 p. 309-313

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抄録

ポリ塩化ビニル(PVC)製品中のフタル酸ビス(2-エチルヘキシル),フタル酸ジブチル,フタル酸ベンジルブチル,フタル酸ジイソノニル,フタル酸ジイソデシルおよびフタル酸ジ-n-オクチルの試験法を検討した.測定にはGC/MSをSIM条件下で用い,定量イオンとしてDBP,BBPおよびDEHPにはm/z 149,DNOP,DINPおよびDIDPにはm/z 279,293および307を用いることにより分別定量が可能であった.また,添加回収試験により抽出法および溶解法は試験溶液の調製法としていずれも有用であることが確認された.一方,GC/MS測定には,試料溶液に混入するPVCのマトリックス効果により測定値がばらつくという問題点があり,それを抑制するためには試験溶液の希釈が有効であった.9機関による共同試験を実施したところ,機関内再現性は良好であったが,一部機関では測定値がばらつくことがあった.したがって本法により合否判定を行うことは難しいものの,試料中のフタル酸エステル含有量を明らかとする方法としては十分な実用性を有すると考えられた.

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© 2011 公益社団法人 日本食品衛生学会
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