日本小腸学会学術集会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2434-7019
Print ISSN : 2434-2912
第58回日本小腸学会学術集会
セッションID: O4-3
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一般演題4
化学療法抵抗性の十二指腸原発印環細胞癌の一例
*芥川 剛至松永 壮人西岡 敦二郎武富 啓展島田 不律鶴岡 ななえ坂田 資尚下田 良青木 茂久能城 浩和木村 晋也江﨑 幹宏
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抄録

【症例】40歳代女性。2週間ほど持続する腹部膨満、嘔気を主訴に前医を受診。腹部造影CTで十二指腸遠位側~上部回腸に位置する腫瘍性病変を指摘され、精査加療目的で当科紹介となった。ダブルバルーン内視鏡では、十二指腸遠位側に全周性の潰瘍性病変を認め、生検で印環細胞癌が検出された。十二指腸原発癌と診断し局所切除を予定したが、審査腹腔鏡で多発腹膜転移を認めたため、胃空腸バイパス術後に化学療法を開始した。FOLFOX療法を開始するも癌性腹膜炎の増悪に伴う腹水増加が見られたため、腹水制御を期待してラムシルマブ+アブラキサン併用療法に変更した。腹水コントロールは得られたものの、原発巣は増大傾向であった。二次療法開始後20日目に消化管穿孔による腹膜炎・敗血症ショックをきたし、同日死亡退院となった。

【考察】十二指腸原発印環細胞癌は十二指腸癌の2-3.5%との報告もあるが、きわめて稀である。局所切除が可能であれば長期予後も望めるが、進行癌で発見されることが多く、予後は著しく不良である。十二指腸癌に対する化学療法は確立されておらず、胃癌または大腸癌に準じた薬剤選択が行われる。しかしながら、印環細胞癌や低分化型腺癌に対する化学療法実施例の報告は少なく、その治療効果は明らかとなっていない。また、本例のように若年発症し急速に進行する場合もあり、診断法や治療法の確立が望まれる。

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© 2020 本論文著者
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