超音波医学
Online ISSN : 1881-9311
Print ISSN : 1346-1176
ISSN-L : 1346-1176
症例報告
造影超音波検査を施行した肝炎症性筋線維芽細胞性腫瘍の1例
表原 里実西田 睦佐藤 恵美工藤 悠輔作原 祐介三橋 智子柿坂 達彦横尾 英樹神山 俊哉清水 力
著者情報
ジャーナル 認証あり

2014 年 41 巻 2 号 p. 225-232

詳細
抄録

32歳,女性.胃部不快感と発熱で近医受診するも改善せず,右季肋部痛も出現したため当院受診.腹部超音波(US)では,肝S5,8を主体に径106 mmの境界明瞭輪郭整な等‐低エコー腫瘤および右肝静脈内に連続する超音波像がみられた.Sonazoid®造影では,動脈優位相血管イメージで腫瘤内に流入する屈曲した索状の造影効果,潅流イメージにて不均一な強い造影効果,門脈優位相で造影効果は軽度減弱.また,造影効果不良域を認め出血,壊死を疑った.Micro Flow Imagingでは右肝静脈内の超音波像内に豊富な血管構築を認め腫瘍栓の所見であった.後血管相では分葉状の欠損像を呈した.CTでは,動脈相で不均一濃染,平衡相でのwash outは認めなかった.造影MRIでは,T1強調像で均一な低信号,T2強調像で不均一な高信号を呈し,肝細胞相では造影剤の取り込みは低下していた.肝細胞癌,癌肉腫,混合型肝細胞癌など悪性腫瘍が疑われ右葉切除施行.病理組織学的に,豊富な粘液浮腫状間質を背景に,紡錘形細胞が個在性に増殖,小型リンパ球様細胞を伴う樹枝状血管が豊富に介在していた.炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(Inflammatory myofibroblastic tumor: IMT)と診断された.肝原発IMTはきわめてまれで悪性腫瘍との鑑別が困難とされる.造影USを施行し得た肝IMTを経験したので報告する.

著者関連情報
© 2014 一般社団法人 日本超音波医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top