2014 年 68 巻 11 号 p. J502-J509
周波数有効利用の観点からテレビホワイトスペース(TVWS)の活用が期待されている.TVWSを利用する場合,テレビ放送受信者への与干渉エリア及びTVWSシステムの通信エリアを推定する必要があるが,TVWSシステムの運用環境に即した伝搬モデルの検討は少ない.そこで本論文では,TVWSシステムの運用環境として想定される低アンテナ高での見通し内近距離伝搬損失特性を明らかにするため,屋外電波伝搬測定を行い,テレビ放送受信者への与干渉エリア,および見通し環境における通信エリアを推定するための伝搬モデルを検討した.伝搬測定の結果から,直接波と大地面からの反射波とを考慮した2波干渉モデルを基本として,最小の伝搬損を考慮した与干渉エリア推定用の伝搬モデルを開発した.さらに,この開発した伝搬モデルに対数正規分布で表されるフェージング損失の項を追加することで,通信エリアを推定可能とした伝搬モデルについても示す.