日本ファジィ学会誌
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ファジィデータに対する射影追跡の適用
今井 英幸佐藤 義治
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1995 年 7 巻 6 号 p. 1239-1246

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抄録

射影追跡はコンピュータの計算能力とグラフィック機能を利用した探索的データ解析の一手法であり, 近年のコンピュータの能力の向上に伴って注目されるようになった.射影追跡ではコンピュータによってデータの構造の特徴が最もよく現れる低次元空間(通常は一次元, あるいは二次元)を探索して射影し, グラフィック機能を用いて表示することによって, データのおおまかな潜在構造を人間のパターン認識能力を活用して調べる.このような低次元空間を自動的に探し出すために, 射影指標と呼ばれるデータ構造の興味深さを測る関数を用い, それを最大にする射影を決定する.射影追跡ではデータ構造の興味深さを非正規性として捉える.正規分布から離れるほど興味深い構造と考えるのである.したがって, 射影指標は非正規性の尺度である.ファジィデータに射影追跡法を適用するために, 射影指標として曖昧さの尺度(measures of fuzziness)を用いる方法が提案されている.射影されたデータの曖昧さが少ないほど興味深い構造と考え, 曖昧さが最も少なくなるような低次元空間にデータを射影し表示する.しかし, この方法は曖昧さだけに着目しているため, データの重要な構造であるクラスターや関数関係を見逃す可能性がある.本論文では, データの構造の興味深さと曖昧さの両方を考慮した射影追跡法を提案し, その有効性を数値実験により確かめた.

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© 1995 日本知能情報ファジィ学会
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