2021 年 58 巻 3 号 p. 402-408
ウェルナー症候群は,思春期以降に白内障,白髪禿頭,メタボリックシンドロームや動脈硬化,悪性腫瘍などの老化徴候が早発する,単一遺伝子による早老症である.多くの早老症が小児期に発症し,発育,発達障害の要素を含む中,ウェルナー症候群は30代以降に発症することから,ヒトの老化のモデル病態と言われる.この疾患の老化機構については,テロメア,エピゲノム,ゲノム不安定性,酸化ストレスなど多くの知見が報告されており,本疾患の機序解析からヒトの一般老化の機序解明につながることが期待される.