日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
Dipper 型および non-dipper 型老年本態性高血圧における運動負荷時の血圧反応の相違
殷 東風井尻 裕河埜 功田草川 正弘岩崎 宏奥谷 充章望月 泰朗石原 司沢登 貴雄梅谷 健小森 貞嘉田村 康二
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1998 年 35 巻 11 号 p. 845-850

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抄録

Dipper 型および non-dipper 型老年高血圧患者における運動負荷時の血圧変動について検討した. 未治療老年本態性高血圧患者49名 (年齢60~79歳, 平均67±5歳) を対象に携帯型自動血圧計を用いて収縮期および拡張期血圧を30分毎に48時間測定し, 収縮期血圧と拡張期血圧の夜間低下率 (昼間と夜間の平均値の差を昼間平均値で除した値) が共に10%以上であるものを dipper (25名), 少なくともいずれか一方が10%未満であるものを non-dipper (24名) とした. 次に午後3~5時の時間帯に Bruce 法による症候限界性トレッドミル運動負荷試験を施行し, 回復期6分まで1分毎に収縮期および拡張期血圧を測定した. 収縮期および拡張期血圧の48時間平均値は両群で差はなかったが, non-dipper 型患者は dipper 型患者に比べて運動負荷2~5分における収縮期血圧の上昇幅が有意に少なかった (p<0.05). 以上より, 運動に対する血圧反応性の相違が老年本態性高血圧患者の血圧概日変動様式に影響を与えている可能性があると考えられた.

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