1996 年 33 巻 11 号 p. 867-870
症例は71歳, 女性. 歯肉出血と鼻出血で発症した. 特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) と診断され, prednisolone, azathioprine の経口投与で緩解したが77歳になって再発し, 薬剤抵抗性であった. 血小板輸血などで経過観察していたが大量の消化管出血を来しショック状態となって死亡された. 病理解剖で左室前壁に新鮮心筋梗塞巣を認めた. 諸臓器にはDICの所見はなかった. 高齢発症のITP症例では, 心筋梗塞の発症の報告はなく, 興味深い症例と考えられた.