1994 年 31 巻 10 号 p. 747-751
高齢者は潜在的に血栓準備状態にあることが多く, 容易に敗血症からDICおよびDIC準備状態になり, 致死的になりやすい. 我々は重症感染症によりDICおよびDIC準備状態を併発した31例を検討した. 31例を2群, すなわち14例の早期死亡群 (14日以内に死亡) と17例の長期生存群 (15日以上生存) に分けた. また, 31例の血栓性疾患群, および25例の健常高齢者群を対照とした. DICスコアは有意に早期死亡群が長期生存群より高値であり, DICスコアと生存日数には有意の相関関係を認めた. また, 長期臥床状態の症例が早期死亡群には多かった. 血清BUN, Cre 値は有意に早期死亡群が長期生存群より高値であった. TAT, PIC, Dダイマーは血栓性疾患群は健常高齢者より有意に高値であり, またTAT, Dダイマーは早期死亡群, 長期生存群ともに血栓性疾患群より高値であった. Dダイマーは早期死亡群が長期生存群より高値であった. DICは分子マーカーによる早期診断が重要で, Dダイマー高値は予後不良と考えられた.