日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
マルサスシステムの市乳二次汚染管理への適用
亀井 俊郎佐藤 順児玉 優子小俣 洋子野田 勝彦
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1988 年 35 巻 4 号 p. 226-234

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抄録

細菌検査の迅速法としてのマルサスシステムを市乳の二次汚染の管理に適用し,次の結果が得られた.
(1) 検出時間と最初に存在した生菌数の対数値とは直線的関係となったが,検出時間は菌の種類によって異なった.同一菌数レベルでも,最も検出時間の短いE. cloacaeと最も長いS. aureusとでは,約10時間の差があった.従って,本システムで汚染菌種が未知の検体中の菌量を推定することは,不可能であった.
(2) 検出時間は試料採取量により大きく変化した.試料採取量を1mlから5mlにすることにより, S. aureusは約8時間, Pseudomonasは1~4時間, B. cereusは0~2時間, E.. cloacaeは約1時間の検出時間の短縮が可能であった.
(3) 最適パラメーターは1st Difference Threshold:0.5μS, Base Line Threshold: 0,4μSであった.
(4) 牛乳の増菌試験において,コンダクタンス法と従来法とは,前培養後1時間以内に97%, 4時間以内に98%, 9時間で99%一致した.またl0ml容セルを使用した場合でも,試験開始後概ね25時間で検出可能であった.

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