日本食品科学工学会誌
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技術論文
乾燥方法や前処理条件がエゴマ葉の機能性成分含量および抗酸化活性に及ぼす影響
小川 哲郎近重 克幸荒木 英稀北川 優勝部 拓矢太田 ゆかり山崎 幸一橋本 道男東 敬子
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2016 年 63 巻 5 号 p. 217-224

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抄録

エゴマ葉の機能性成分含量や抗酸化活性に及ぼす乾燥方法や前処理条件の影響について検討したところ,以下の知見が得られた.
(1)エゴマ葉のα-リノレン酸とロスマリン酸は,温風乾燥に比べて減圧マイクロ波乾燥でよく保持され,特にα-リノレン酸は,凍結乾燥と同レベルの含量であった.
(2)減圧マイクロ波乾燥条件は,高出力·短時間処理が機能性成分の保持に優れていた.
(3)蒸煮による前処理は,冷凍·解凍処理によるロスマリン酸の損失を防ぐことができた.
(4)エゴマ葉のDPPHラジカル捕捉活性は,減圧マイクロ波乾燥では低下が少なく,さらに,蒸煮による前処理を行い,冷凍·解凍後に乾燥することで,無処理(凍結乾燥のみ)に比べて有意に高まった.また,これは,可溶性総ポリフェノール含量とよく相関していた.
(5)減圧マイクロ波乾燥は,従来法の温風乾燥に比べて,エゴマ葉の機能性成分や色調の保持の点で優れ,蒸煮による前処理を行うことで抗酸化活性を高めた乾燥品を製造できるものと考えられた.

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© 2016 日本食品科学工学会
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