日本食品科学工学会誌
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有色素米の抗酸化能とポリフェノール含量の測定
伊藤 満敏大原 絵里小林 篤山﨑 彬梶 亮太山口 誠之石崎 和彦奈良 悦子大坪 研一
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2011 年 58 巻 12 号 p. 576-582

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抄録

有色素米8品種(赤米4種,紫黒米4種)と対照のコシヒカリについて,抗酸化能(活性酸素吸収能(ORAC)およびDPPHラジカル消去能)の測定,ならびにフォーリン-チオカルト法を用いた総ポリフェノール含量の測定を行った.有色素米の抗酸化能は総ORACが58.0-169.4 μmol TE/g-dry weight,DPPHラジカル消去能が10.8-52.2 μmol TE/g-dry weightの範囲であり,いずれも「コシヒカリ」の24.9および2.5 μmol TE/g-dry weightに比べて著しく高かった.総ポリフェノール含量とH-ORACおよびDPPHラジカル消去能には高い正の相関(r=0.984およびr=0.948,p<0.01)があり,H-ORACとDPPHラジカル消去能との相関性も高かった(r=0.946,p<0.01).また赤米からはプロアントシアニジンが,紫黒米からはアントシアニンが検出され,これらポリフェノール成分含量と抗酸化能との相関も高かった.5品種の有色素米において,収穫年の違いにより抗酸化能およびポリフェノール含量は増減したが,品種間の大小関係への影響は少なかった.以上の結果より,有色素米が抗酸化能の供給源として有用であり,その主要な抗酸化成分はポリフェノールであることが示唆された.

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© 2011 日本食品科学工学会
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