日本食品科学工学会誌
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強酸性電解水がカット野菜の品質に及ぼす影響
小関 成樹伊藤 和彦
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2001 年 48 巻 5 号 p. 365-369

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抄録

強酸性電解水によるカット野菜の殺菌がその品質に与える影響を明らかにするために,強酸性電解水,NaOCl水溶液および水道水による浸漬処理が野菜の外観,色素含量およびアスコルビン酸含量に与える影響を検討した結果,以下の知見が得られた.
(1) いずれの試験溶液に浸漬しても野菜の外観色調に変化は見られなかった.しかし,各試験溶液に10分間浸漬することでカットキャベツとカットレタスではクロロフィル含量が10-20%減少し,カットニンジンではβ-カロテン含量が30%減少した.なお,減少の機構については明らかではない.一方,非切断の野菜を強酸性電解水に浸漬した場合にはいずれの野菜においても色素含量の変化は見られなかった.
(2) 試験溶液の種類に関わらず,10分間の浸漬によりカットキャベツ,カットレタスおよびカットキュウリのアスコルビン酸含量はそれぞれ20%, 15%および35%減少した.一方,非切断の野菜を強酸性電解水に浸漬した場合にはいずれの野菜においてもアスコルビン酸含量は変化しなかった.
(3) 強酸性電解水によるカット野菜の品質(色素含量,アスコルビン酸含量)低下はNaOCl水溶液や水道水と同等であり,強酸性電解水はカット野菜の品質に悪影響を与えなかった.

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