日本食品科学工学会誌
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塩によって誘導されるホエータンパク質のゲル化に伴う疎水性度とSH量の変化
佐藤 薫中村 道子小泉 詔一河内 公恵西谷 紹明中島 一郎
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1995 年 42 巻 1 号 p. 7-13

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抄録

塩化ナトリウム添加によって得られる加熱処理WPI溶液のゲルについて,その形成過程における疎水性度およびSH量の変化について検討した.
10%WPI溶液を70℃以上で加熱した場合,高分子化したホエータンパク質の可溶性凝集体が得られる.この過程においてホエータンパク質の疎水性度は上昇し,SH量は低下することがわかった.また,電気泳動分析から可溶性凝集体はSS結合を介していることがわかった.すなわち,加熱処理によりホエータンパク質問で疎水性相互作用およびSH/SS交換反応が生じ,可溶性凝集体が形成されるものと推察した
.20℃において加熱処理WPI溶液に塩化ナトリウムを添加した場合,疎水性度の急激な上昇とわずかなSH量の低下をともないながらゲルが形成されることがわかった.このことからゲル形成には疎水性相互作用およびSH/SS交換反応の両方が関与しているが,初期段階で疎水性相互作用の方がより大きく関与していると考えた.

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