物理探査
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講座
ミュオグラフィーの現状と将来について
田中 宏幸
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2012 年 65 巻 1_2 号 p. 93-102

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抄録

 宇宙から地球に飛来する一次宇宙線と大気の相互作用で作られる大気ミュオンを用いて巨大物体の内部構造を調べようとする実験は今から50年以上前に考案された。その後,ピラミッドや資源探査などをモチベーションとして数多くの科学者がミュオンを用いたイメージング技術 (ミュオグラフィー) の開発を試みてきた。しかし,既知の物質の発見など原理検証実験に留まる実験が多かった。2006年ミュオグラフィーを火山内部のイメージングに適用して始めて視覚的に確認できない部分の構造を描き出すことに成功した。その結果, これまで見ることができなかった,巨大産業プラント内部の可視化への応用も進んだ。本論文ではミュオグラフィーの歴史を振り返りながら, 当時の問題点を明らかにしつつ,その打開策を技術論的観点から論ずる。また,技術論文や解説記事として既に数多く出版されている2006-2008年のミュオグラフィー観測結果には触れずに出来るだけ最新の技術や観測結果を盛り込むことで, 現状と未来に焦点を当てた形とする。

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© 2012 社団法人 物理探査学会
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