日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
病理学的鑑別に難渋した肺腺癌再発の診断に網羅的癌遺伝子パネル解析が有用であった1例
中橋 健太大泉 弘幸鈴木 潤濱田 顕阿部 昂平佐藤 秀則
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2019 年 33 巻 4 号 p. 436-441

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抄録

症例は67歳男性.胸部大動脈瘤の精査目的のCTで指摘されたすりガラス影を呈する左肺下葉の結節に対して胸腔鏡下左肺部分切除術を施行し,病理診断はLepidic pattern主体の肺腺癌(pT1miN0M0-IA1 UICC8th)であった.術後2年5ヵ月後に呼吸困難で来院し胸部X線写真で左肺に大量の胸水を認め,CTでは左肺底部に胸膜肥厚を認めた.癌性胸膜炎を疑い胸腔鏡下胸膜生検術を施行し,病理診断は低分化腺癌であった.病理学的に異時多発か再発かの鑑別に難渋したため網羅的癌遺伝子パネル解析を施行し,初回と今回の病変いずれもEGFR p.R521K変異が認められ,かつ体細胞変異が約9割(88%)一致したため再発と診断した.現在,シスプラチン+ペメトレキセドによる化学療法を施行中である.

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