日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
オクトレオチドが著効した放射線が原因と考えられた遅発性難治性乳糜胸の一例
黒田 浩章川村 雅文泉 陽太郎堀之内 宏久松村 紳一郎堀口 速史
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2009 年 23 巻 5 号 p. 772-776

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抄録

症例は15歳男性.乳児期に脾血管腫に対し,上腹部に放射線治療を受けた.学校検診で胸部異常影を指摘され,近医を受診し,両側特発性乳糜胸の診断で,左開胸下に胸管結紮術を受けたが,改善を認めず,当院へ転院となった.再度横隔膜の高さで胸管結紮を行うも,直後より両側乳糜胸水,腹水の貯留が出現し,循環不全と呼吸不全の状態となった.放射線照射に伴う遅発性難治性乳糜胸と診断し,ソマトスタチンのアナログであるオクトレオチド(100μg×3/日,皮下注)を1ヵ月間投与したところ,胸水,腹水とも著明に減少し,常食の摂取も可能となった.

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