症例は15歳男性.乳児期に脾血管腫に対し,上腹部に放射線治療を受けた.学校検診で胸部異常影を指摘され,近医を受診し,両側特発性乳糜胸の診断で,左開胸下に胸管結紮術を受けたが,改善を認めず,当院へ転院となった.再度横隔膜の高さで胸管結紮を行うも,直後より両側乳糜胸水,腹水の貯留が出現し,循環不全と呼吸不全の状態となった.放射線照射に伴う遅発性難治性乳糜胸と診断し,ソマトスタチンのアナログであるオクトレオチド(100μg×3/日,皮下注)を1ヵ月間投与したところ,胸水,腹水とも著明に減少し,常食の摂取も可能となった.