北関東医学
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原著
化学療法を受けている消化器がん患者の気がかりとその影響要因
石田 順子石田 和子狩野 太郎竹吉 泉堤 荘一浅尾 高行桑野 博行神田 清子
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2005 年 55 巻 4 号 p. 367-374

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抄録

【背景・目的】 外来化学療法を受けている消化器がん患者の気がかりとその影響要因を明らかにすることを目的とした. 【対象と方法】 対象者はA・B病院の外来に通院し化学療法を受けている消化器がん患者で同意の得られた106名に質問紙調査を施行した. 測定用具は神田らが開発したがん化学療法気がかり評定尺度 (Cancer-Chemotherapy Concerns Rating Scale : 以下CCRS) を用いた. 回答が得られた98名 (男性71名, 女性27名, 平均年齢62.1歳±9.5歳) について分析を行った. 【結果】 性格型では, 感情や行動を抑制しがちな内向型 (I型) が, 活動的で情緒が安定している外交型 (II型) よりもCCRS得点が高く有意差があった. 手術をしなかった人は, 手術をした人よりもCCRS得点が高く有意差があり, PSでは, 0より1のCCRS得点が高く有意差があった. 化学療法の満足度では不満足の人のCCRS得点が高く有意差があった. 副作用の有無とCCRS得点の関係では, 倦怠感, 吐き気, うつ, 不安・いらいら, 臭いの変化に関係が認められた. これらの要因について重回帰分析を行った結果, 化学療法の満足度, 性格型, 手術の有無が大きく影響していた. 【結語】 化学療法に対して満足が得られるケアを提供すること, 内向型 (I型) の性格の人には, 感情が発散できる場所の提供, 手術不能な人にはサポートシステムの構築が不可欠であることが示唆された.

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© 2005 北関東医学会
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