膵臓
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症例報告
高度の低アルブミン血症を伴ったIntraductal Papillary Mucinous Carcinomaに対し膵頭十二指腸切除術を行った1例
良田 大典里井 壯平山本 智久豊川 秀吉柳本 泰明廣岡 智山木 壮松井 陽一高井 惣一郎高岡 亮岡崎 和一權 雅憲
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2015 年 30 巻 2 号 p. 250-257

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抄録

57歳,男性.近医でアルコール性肝障害精査のCTで膵頭部嚢胞性病変を指摘,当院紹介された.CT,MRIにて膵頭部に55mm大の嚢胞性病変と主膵管の著明な拡張を認め,ERCPでは十二指腸乳頭開口部の著明な開大,粘液の流出あり.膵液細胞診でsuspicious of Adenocarcinomaの所見を認め,混合型のIntraductal Papillary Mucinous Carcinoma(以下IPMC)と診断.血清アルブミン値は1.6g/dlと低値,粘液による主膵管閉塞,膵外分泌機能障害を疑い術前に消化酵素剤と成分栄養剤投与,2.3g/dlまで回復し膵頭十二指腸切除術を施行.術後は3.2g/dlまで改善,合併症なく術後12日目に退院.主膵管病変を伴うIPMCは時に低アルブミン血症を伴い,周術期管理に注意を要するが,背景に膵外分泌機能障害が併存する可能性が示唆された.

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© 2015 日本膵臓学会
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