肝臓
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原著
日本人原発性胆汁性胆管炎患者の自覚症状および患者報告アウトカムの評価
田中 篤三浦 幸太郎八木 みなみ菊池 健太郎上野 義之大平 弘正銭谷 幹男滝川 一
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2016 年 57 巻 9 号 p. 457-467

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抄録

原発性胆汁性胆管炎(primary biliary cholangitis;PBC)の自覚症状として皮膚掻痒,疲労,口腔・眼の乾燥が知られているが,日本人患者におけるその実態は明らかになっていない.我々はPBC特異的QOL評価尺度“PBC-40”日本語版を作成し,外来通院中の日本人PBC患者180例を対象として,PBC-40,健康関連QOL評価尺度SF-36,疲労症状評価尺度FFSS,抑うつ・不安評価尺度HADS,以上4種の客観的QOL評価尺度への記入を依頼し,日本語版PBC-40の妥当性を検証するとともに日本人PBC患者の自覚症状を解析した.その結果,疲労・皮膚掻痒・乾燥それぞれの症状について26%,31%,54%のPBC患者が中等度以上という評価をしており,すべての症状に対して「なし」,あるいは軽度という評価をしたのは全体の32%であった.皮膚掻痒は肝硬変の有無と,乾燥は年齢との間に相関がみられた.SF-36による全般的QOL評価では,「全体的健康感」「日常役割機能(身体)」「活力」「心の健康」の4ドメインにおいて健常人に比較してQOLが低下していた.

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© 2016 一般社団法人 日本肝臓学会
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