肝臓
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肝細胞癌に対する血中AFP-mRNA検出の臨床的意義に関する検討
寒原 芳浩前川 陽子中谷 正史石川 羊男北沢 荘平
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キーワード: 肝細胞癌, 門脈侵襲
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1996 年 37 巻 12 号 p. 731-737

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抄録

血中AFP-mRNAを検出することはAFP産生能を有する肝癌細胞または正常肝細胞が血中を循環していることを意味している.nested RT-PCR法にて血中AFP-mRNAの検出を行い,その臨床的意義について検討した.血中AFP-mRNA検出率は肝細胞癌56例では50%,肝硬変18例では11.1%,慢性肝炎・転移性肝癌・消化器癌・健常人46例では検出しなかった.高度門脈侵襲陽性の肝細胞癌例15例中14例で血中AFP-mRNAを検出した.血中AFP-mRNAの検出は門脈侵襲のよい指標であり,陽性例では門脈侵襲を念頭においた治療法を選択する必要がある.また,TAE前後の血中AFP-mRNAの変動をみると,TAE後にも検出される症例では有効例はほとんど無く,TAE前陽性・TAE後陰性となった5例は全例有効例であった.TAE前後の血中AFP-mRNAの検出によりTAEの効果を早期に判定できた.血中AFP-mRNAの検出は,HCCの治療法選択,及び治療効果判定に有用である.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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