2022 年 37 巻 2 号 p. 102-111
生体分子や外来因子などの細胞外マテリアルが最初に接触する生体要素は、細胞膜である。マテリアル−細胞膜間のインターフェースはマテリアルにとって第一の関門であり、生体により「拒絶」「回避」「寛容」のいずれの選択がなされるかが決定される場である。本稿では、高速ライブセル原子間力顕微鏡によるマテリアル−細胞膜間インターフェースの動態を観察する技術と、マテリアルに対する細胞応答を可視化するための蛍光バイオイメージング技術を紹介するとともに、それらの相関イメージングの展望について議論する。これらの技術は、マテリアル−細胞膜間の相互作用の強弱がどのようにデコードされ、細胞やマテリアルをどのような運命に導くのか、つまり弱い相互作用を理解し、物質共生を実現するための基盤になると期待される。