2019 年 39 巻 4 号 p. 335-340
金属メッシュは,入射光と微小開口の相互作用により開口近傍に電場が局在する性質を持ち,そこに誘電体が付着すると透過特性が変化するため,非標識かつ簡便なセンサとして応用できる光学素子である.アレルゲンのように微小な物質を検出対象とする場合は,対象物と局在した電場が相互作用しやすいようにすることで,検出感度の向上が期待できる.本研究では,テラヘルツ帯で高い透過性を示す多孔質ポリマーを用い,対象物の固定方法と感度との関係性を明らかにした.金属メッシュ開口部に充填した多孔質ポリマー内に反応層を設けて生体分子の選択的な検出を行った結果,金属メッシュ表面に対象物を直接固定する手法や多孔質膜を片面に密着させる手法よりも感度を向上させることに成功した.