光線力学的療法(Photodynamic Therapy : PDT)は,早期がんに対する有効な治療法として認められているが,膀胱がんには未だ臨床適用されていない.膀胱がんは,多発的・広基的に発生・増殖する性質を持っているため,PDTに際しては膀胱内壁全体に光を均質に照射することで,とりこぼしなく一期的な治療をおこなえる可能性が高い.そこで本研究では,膀胱内壁全体に均質照射可能な光照射用プローブ(Homogenous Irradiation Fiber Probe : HIFiP)を開発し,その効果検証を行った.ラット膀胱がんモデルを用いた実験では,HIFiP使用によって膀胱内を広範囲にわたって光照射することが可能となり,抗腫瘍効果は,コントロールファイバー(Flat cleaved end)を用いたPDTに比し約2倍増強した.本システムと,腫瘍選択集積性を示す光増感剤を用いることで,膀胱がんに対する効果的なPDTが期待できる.