紙パ技協誌
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機械パルプの微生物処理に関する研究 (第7報)
還元性色素を用いた機械パルプの光による色戻りを抑制する菌のスクリーニング
伊藤 和貴河村 佳枝首藤 宏治沖 妙橘 燦郎
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1996 年 50 巻 5 号 p. 811-819

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抄録

天然から機械パルプの光による色戻りを抑制する菌をスクリーニングする方法について検討した。2種の還元色素 (2, 6-ジクロロインドフェノールナトリウム, メトキシ-p-キノン) を指標として用いるスクリーニング法により, 天然から機械パルプの光による色戻り抑制能を有する4種 (501,801, 1304, 1701菌株) の糸状菌を見出した。4種の菌のうち1701菌株が最も高い色戻り抑制能を示し, TMPの色戻りを56%抑制することができた。
天然から機械パルプの光による色戻りを抑制する菌をスクリーニングする場合は (1) 第1スクリーニングとして指標色素である2, 6-ジクロロインドフェノールナトリウムを含んだ平面培地上で培養し, 色素を還元する菌を選び出し, (2) 引き続き第2スクリーニングとして, 指標色素であるメトキシ-p-キノンを添加した液体培地で培養し, 液体培地の色を褪色できる菌を選び出す。 (3) そして選び出された菌について, 菌体外粗酵素液を調製し, メトキシ-p-キノンとの反応性を調べると共に, 培養条件等を検討していけば, 大きな色戻り抑制能を有する菌を天然からスクリーニングできるものと考えられる。

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