日本水処理生物学会誌
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人工鉄型ゼオライトによる高濃度アンモニア含有有機性廃棄物の嫌気性消化におけるメタン生成促進
多田 千佳林原 茂歌津 洋一澤山 茂樹
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2006 年 42 巻 3 号 p. 99-106

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抄録

本研究は、石炭灰廃棄物から再生された3種の人工ゼオライト(鉄型、カルシウム型およびナトリウム含有量の低いカルシウム型)の高濃度アンモニア含有有機性廃棄物の嫌気性メタン発酵におけるメタン生成量およびメタン生成微生物叢に及ぼす影響について検討したものである。鉄型人工ゼオライト添加によるメタン生成量は、他の人工ゼオライト添加によるメタン生成量に比べて高くなり、その量はゼオライト無添加系と比較して約4倍高かった。鉄型人工ゼオライト添加系では、高濃度アンモニア有機性廃棄物の嫌気性消化過程において他系で見られた酢酸塩の蓄積が見られなかった。リアルタイムPCRによるメタン生成微生物叢の解析結果では、メタン生成微生物叢は鉄型ゼオライト添加系とカルシウム添加系による大きな違いがなかった。鉄型人工ゼオライト、鉄イオンおよびカルシウムイオンをそれぞれ高濃度アンモニア有機性廃棄物の嫌気性消化過程に添加し、メタン生成量を比較した。その結果、鉄型人工ゼオライト添加によるメタン生成促進効果が最も高かった。鉄型人工ゼオライト添加は、高濃度アンモニア有機性廃棄物の嫌気性消化において2つの役割によるメタン生成促進効果があると考えられる。一つは、嫌気性微生物に鉄を供給すること、もう1つはアンモニア濃度を減少させることである。

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© 2006 日本水処理生物学会
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