Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
原著
せん妄を呈した進行がん患者における苦悩の実態:多施設前向き観察研究
川島 夏希久永 貴之浜野 淳前田 一石今井 堅吾坂下 明大松本 禎久上村 恵一小田切 拓也小川 朝生吉内 一浩岩瀬 哲
著者情報
ジャーナル フリー HTML
電子付録

2019 年 14 巻 3 号 p. 237-243

詳細
抄録

【目的】せん妄を呈した進行がん患者における苦悩の実態の検討.【方法】国内14施設の緩和ケア病棟に入院中または国内10施設の一般病棟に入院し精神腫瘍科が介入中の進行がん患者のうち,せん妄と診断され抗精神病薬の定期投与を受ける患者を前向きに連続サンプリングした.苦悩の有無を緩和ケア専門医が判断し,患者背景,DRS-R-98で評価したせん妄の重症度を比較した.【結果】対象患者818名のうち99名(12.1%)に苦悩を認めた.年齢,39歳以下,認知症の有無に有意差を認めた.治療前のDRS-R-98(15.3±8.1点 vs 17.3±7.8点,p<0.02)は苦悩を伴う群で有意に低く,情動の変容は有意に高かった.【考察】せん妄を呈した進行がん患者で苦悩を伴うものでは年齢が低く,認知症の併存が少なく,せん妄の重症度は低く,情動の変容が強いことが示された.

著者関連情報
© 2019日本緩和医療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top