日本畜産学会報
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一般論文(原著)
ブロイラー初生ヒナへの飼料給与の開始日齢が鶏肉の脂質過酸化,ドリップ量,肉色,低分子代謝産物濃度,および味認識装置により測定された味覚特性に及ぼす影響
井尻 大地宝蔵 直樹島元 紗希川口 真奈古川 愛理多田 司友永 省三中島 一喜大塚 彰
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2018 年 89 巻 2 号 p. 191-198

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抄録

本研究では,ブロイラー初生ヒナに対する飼料給与の開始日齢が出荷時の肉質に及ぼす影響を調べた.0日齢ブロイラー(チャンキー系ROSS308オス)12羽を2区に分け,飼料給与を0日齢から開始した対照区と2日齢から開始した遅延区とした.両区ともに平均体重が2.2kgに達した時点で屠殺・解体した.平均体重が2.2kgに達した日齢は,対照区が55日であったのに対して,遅延区では60日であった.遅延区のムネ肉は,抗酸化酵素の遺伝子発現量およびα-トコフェロール含量に低下がみられ,脂質過酸化度が増加した.48時間保蔵後のドリップロスは遅延区で増加し,遅延区のムネ肉の色値は,明度が高く,赤色度が低かった.さらに,ムネ肉スープの呈味成分の分析を行った結果,遅延区のムネ肉は,対照区と比較して旨味および旨味コクが低い値を示した.以上より,飼料給与の開始日齢は,ブロイラーのムネ肉の脂質過酸化度やドリップ量,肉色,呈味成分に影響することが示唆された.

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© 2018 公益社団法人 日本畜産学会
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