日本畜産学会報
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一般論文
豚脂肪中のスカトール含量と官能評価への影響
西岡 輝美石塚 譲因野 要一入江 正和
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2011 年 82 巻 2 号 p. 147-153

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抄録

豚肉の嗜好性に影響を与えるにおい物質の現状を把握するとともに,におい物質含量の違いをどの程度識別できるのかを明らかにするため,市場出荷豚128頭の脂肪中のスカトール,インドール各含量を測定し,さらに官能評価に基づくスカトール識別濃度を調査した.市場出荷された去勢豚と雌豚の背脂肪中スカトール含量は,0.00 μg/gから0.20 μg/gに達するものまで個体により大きく異なっていたが,中央値は0.02 μg/gとなり,大部分の個体は低濃度であった.インドール含量も中央値が0.01 μg/gであり,スカトール同様,大部分の個体で低濃度であった.また,スカトール含量には性による有意な差はなく,皮下脂肪の採取部位間や皮下,筋間部位間には強い正の相関が認められた.また官能評価結果から,豚脂肪中のスカトールは0.10 μg/g以上で豚肉の風味に悪影響を及ぼす可能性が示唆された.

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© 2011 公益社団法人 日本畜産学会
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