園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
育苗日数がキャベツセル成型苗の移植後の初期生育と炭水化物の分配に及ぼす影響
佐藤 文生吉岡 宏藤原 隆広東尾 久雄浦上 敦子徳田 進一
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 72 巻 5 号 p. 440-445

詳細
抄録

育苗日数がキャベツセル成型苗の移植後の初期生育と炭水化物の分配に及ぼす影響ついて検討した.容量9mlのセルで育苗したキャベツセル成型苗を播種後14,21および28日目に容量350mlのポットに移植した.苗に蓄積する可溶性糖とデンプンのほとんどは葉に存在した.葉のデンプン濃度は可溶性糖濃度より高く,育苗日数が長くなるにつれ高まった.移植後7日側の相対生長率は育苗日数の長い苗ほど低く,また,茎葉の相対生長率が根より低くなった.移植後の葉面積の増大は下位に位置する葉ほど遅かった.第1葉に蓄積したデンプンは移植後急速に減少した.播種後14日苗では,移植後の根の生育が,第1葉の遮光処理と摘葉処理で同程度抑制されたのに対し,播種後28日苗では,遮光処理による抑制程度が病葉処理より小さかった.播種後21日苗では,苗を移植すると第1葉より取り込まれた14C同化産物の根への分配率が増加した.これらの結果から,キャベツセル成型苗では,育苗日数の増加に伴い葉に蓄積したデンプンは,移植後速やかに分解され,根へ転流すると考えられた.

著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top