園芸学会雑誌
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夏期および秋期栽培ホウレンソウの生育過程における部位別成分について
渡邊 容子内山 総子吉田 企世子
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1994 年 62 巻 4 号 p. 889-895

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抄録

夏期栽培の'マジック'および秋期栽培の'リード'のホウレンソウの生育過程におけるカロテノイド, 総アスコルビン酸, 還元糖, クロロフィル, 硝酸根およびシュウ酸含量の変化について検討した.
1.カロテノイドを測定した結果, 両部位ともにカロテン類では, β-カロテンのみ検出された. 収穫適期の可食部では夏期は4,450μg/100g, 秋期は7,340μg/100gと秋期に約1.6倍多く含有されていた.
2.総アスコルビン酸は収穫適期の可食部では, 夏期は42mg/100g, 秋期は71mg/100gで秋期に約1.7倍多く含有され, 両季節とも生育に伴って減少した.
3.還元糖は収穫適期の可食部では, 夏期は0.07g/100g, 秋期は1.12g/100gと秋期に16倍多く含有されていた. また, 生育過程において夏期は減少傾向を示したのに対し, 秋期は増加し, 季節により異なる傾向を示した.
4.クロロフィルは生育期間中, 夏期においては変化は認められなかったが, 秋期ではやや増加した. さらに, β-カロテンとの間に正の相関関係が認められた.
5.硝酸根は収穫適期の可食部では, 夏期は2,500ppm, 秋期は2,400ppmと栽培時期による差はみられなかった. また, クロロフィルと硝酸根含量の関係は認められなかった.
6.可溶性シュウ酸は収穫適期の可食部では, 夏期は740mg/100g, 秋期は560mg/100gと夏期に約1.3倍多く含有されていた.
7.収穫適期における可食部の総シュウ酸量に対する可溶性シュウ酸量の割合は, 夏期は87.1%, 秋期は80%で, やや夏期の割合が大きかった.

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