要約:今日最も汎用されているTOAST 分類では,脳梗塞はアテローム血栓性,心原性,ラクナ,その他,原因不明の5 病型に分類される.TOAST は各病型に明確な診断基準があり簡便であることが最大の利点である一方,inter-observer reliability やvalidity は十分と言えず,「原因不明」の割合が多くなってしまうなどの欠点がある.これらはSSS-TOAST,CCS といった改定分類によってある程度克服できるが,やや複雑なシステムでありあまり定着していない.また既存の分類法では最も因果関係の強い病型一つを強制的に当てはめるため,併存病態の情報が無視されてしまう問題もある.その点を解決したASCOD 分類は,病因(atherosclerosis,small vessel disease,cardiac pathology,other cause,dissection)ごとに脳梗塞との関連の強さをグレードするシステムであり,多様な目的に応用可能である.しかしながら全ての分類法は行う検査の質や完遂度などに左右され,一定のバイアスは避けられない.各分類法の長所・短所をよく理解し,目的に応じて適切な分類法を選択することが重要である.