2012 年 49 巻 1 号 p. 23-30
目的:多数例において,本邦で汎用されている簡易上肢機能検査(STEF)を用いたCI療法の効果を調べる.また,CI療法の効果予測因子について検討する.対象:発症後180 日以降の脳卒中による慢性期片麻痺患者107 名.方法:健側上肢をミトンやスリングで拘束しつつ,患側上肢の訓練を1 日5 時間,連続した平日10 日間行った.介入前後において,上肢機能の評価を行った.また,年齢,性別,発症からの期間,脳卒中の病型,障害半球,利き手,上肢の痙縮が訓練結果に与える影響について検討した.結果:介入前後において,STEFでは31.3 点(平均)から42.7 点,Wolf Motor Function Test - Functional Ability Scale(WMFT-FAS)では51.8 点から57.0 点といずれも有意な改善を認めた.一方,mASでは,有意な差は認めなかった.検討した予測因子のうち,訓練結果に影響与える重要な関連因子は認めなかった.結論:CI療法によって上肢機能の改善を認めた.今回検討した予測因子は,CI療法の結果に影響を与えない.